ショック40

Schock 40は、アメリカのW.D. Schock社が設計・製造したレーシングヨットで、革新的なデザインと高いパフォーマンスが特徴です。特に、Canting Keel(カンティング・キール)を採用した最初の量産レーシングヨットとして知られ、軽量で剛性の高いカーボンファイバー構造と、最先端のセーリング技術を搭載しています。競技志向のセーラー向けに開発され、スピードを重視した設計が施されています。


基本仕様

  • 全長(LOA):12.19 m (40 フィート)
  • 水線長(LWL):10.06 m
  • 全幅(BEAM):3.50 m
  • 喫水(DRAFT):2.74 m(可動式キール)
  • 排水量(DISPLACEMENT):3,060 kg
  • バラスト重量:1,200 kg
  • セール面積(メイン+ジブ):約80 m²
  • スピネーカー面積:150 m²
  • エンジン:小型補助エンジン搭載(レース仕様)
  • 設計者:John Schock / Steve Schock

革新的な設計と技術

Schock 40は、当時のレーシングヨットとしては革新的な技術を多数採用しています。特に、カンティング・キール(Canting Keel)の導入は、スピードと安定性を両立させる大きなポイントでした。

1. カンティング・キールシステム

  • 片側に最大55度まで傾く可動式キールを採用。
  • ヒールを抑えながら、より大きな揚力を得ることが可能。
  • 風上性能の向上と同時に、スピードの最大化を実現。
  • モーター駆動でキールの角度を調整可能。

2. 軽量なカーボンファイバー製ハル

  • 船体はカーボンファイバーとケブラー複合材を使用し、剛性と軽量化を両立。
  • レースに特化した設計で、風速が低い状況でも効率よく進む。
  • 重量を抑えつつ、強度を維持することで高い耐久性を確保。

3. ダブルラダーシステム

  • カンティング・キールの動きに対応するため、ダブルラダー(2枚舵)を採用。
  • キールが傾いた状態でも確実にコントロール可能。
  • 強風時の操縦性が向上し、ラダーの喪失リスクを低減。

4. ハイアスペクト・リグ

  • 高く細長いマスト(ハイアスペクト比)を採用し、効率的なセール形状を実現。
  • カーボンファイバー製のマストとブームにより軽量化を図る。
  • ジブやスピネーカーとのバランスが良く、加速性能に優れる。

セーリング性能

Schock 40は、レース志向のセーラー向けに設計されており、風速の変化に対しても柔軟に対応できるのが特徴です。

  • 風上性能の向上
    カンティング・キールと高効率なセールデザインにより、狭い角度でも風上へ進める。
  • 加速性とトップスピードの高さ
    軽量なハルと広いセール面積により、特にリーチング(横風)やランニング(追い風)で圧倒的なスピードを発揮。
  • 強風時の安定性
    キールを動かすことでヒールを抑え、コントロールを維持しやすい。
  • レース特化のクルー配置
    セールトリムとキール操作を効率よく行うために、最大6~8人のクルーが最適に配置できるコックピットデザイン。

コックピットとデッキレイアウト

Schock 40は、レースに特化したデッキレイアウトを採用しており、シングルハンド(単独操船)よりもチームセーリングに適した設計になっています。

  • コックピットの広さ
    余計な装備を排し、クルーが自由に動ける設計。
  • ウインチとラインの配置
    最適な位置に配置されており、トリム作業がスムーズ。
  • カンティング・キールの操作パネル
    モーターでキールを動かすスイッチがあり、スキッパーが素早く調整可能。

キャビンの仕様

Schock 40はレーシングヨットのため、快適性よりも軽量化と機能性を優先したキャビン設計となっています。

  • 簡易的なベンチとバース(寝台)
    レース後の休息に最低限の設備を備える。
  • ギャレー(キッチン)は最小限
    簡単な調理ができるスペースのみを確保。
  • コンパクトなナビゲーションステーション
    レース戦略を立てるための機器を配置。

総評

Schock 40は、当時としては最先端の技術を導入した「革命的なレーシングヨット」でした。特に、カンティング・キールの採用により、従来の固定キールのヨットと比較して劇的に向上したスピードと風上性能を実現しました。

しかし、カンティング・キールのメンテナンスの難しさや、操作に慣れるまでの時間が必要な点から、一般的なクルージングには向かないモデルとなっています。それでも、純粋なセーリングパフォーマンスを求めるレース志向のセーラーには、今なお魅力的な艇と言えるでしょう。

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